ESSAY

   
森岡利行

森岡流名前のつけ方


映画「鬼火」の役名国広則康は私が考えた。実在の人物の名前を組み替えたのだ。音感が近しい。「仁義なき戦い」の菅原文太さんの役名が、原作では美能で、映画では広能になっていた。高橋伴明監督「TATTOO(刺青)あり」も実在の人物で、梅川昭美が竹田明夫になっていた。役名の決め方はそんなところからヒントを得ていると思う。

私がデビューする前に、フジテレビのシナリオコンクールに出し最終選考に残った作品で「恋するニキチの憂鬱」というのがある。その中のヒロインの名前は「如月吹雪」という。この名前が「ボーダー」を書いた時、佐藤仁美さんの役名になった。吹雪はもちろん越路吹雪さんの吹雪だ。おばあちゃんが越路吹雪のファンで、孫にこの名前を命名したという設定。これは実際にあった話で、以前、つきあっていた女の名前が、昔の女優の名前だった。同じ、「ボーダー」で、私が主宰している劇団(“STRAYDOG”)の役者をキャスティングしてもらった時、そのまま役者の名前を使った。共演者の根津さんにうちの劇団の役者が訊かれた。「こんな役名あるのかね? 那波だって……ナハなんて読めるのこれ? ナナミじゃないの?」「いえ、僕の本名です」「……そう……あるんだ……変わった名前だな、(せんだみつお風に)ナハッ、ナハッ」という会話がされたらしい。

「ボーダー」は初めての連ドラだった。役名は、ほとんど劇団員の名前を使わしてもらったので、劇団員はさも自分が出演しているような、違う楽しみ方が出来たらしい。六話だけ、荻野目慶子さんがゲストの時、浮気する亭主の役名を、私の妹の旦那の名前にした。ちょうど妹の旦那の浮気が発覚し、大揉めしていたからだ。ドラマの中の亭主(羽場裕一さん)は荻野目慶子さんに、浮気相手を撲殺され、包丁でバラバラにされ、スープの出汁に使われ、夕食に出され何も知らずに食べるという設定だった。中森明菜VS荻野目慶子。(ある意味で、凄いキャスティングだと思う)妹はこの六話を、ことのほか気に入っている。(未見の人は是非ビデオで観て下さい)

七月に私が作・演出する“STRAYDOG”の本公演のタイトルは「路地裏の優しい猫」である。タイトルだけなんとなく決めて、中身はまだ考えてない。本当に全然考えていない。ヤバイ状態だ。でも、きっと、路地裏に優しい猫がいるはずだ。お楽しみに。観に来てね!

2000,6月号「月刊ドラマ」

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